妊娠中の飲酒はダメじゃない
健康に関する定説には、間違っているものや何ら根拠の無いものが多く存在しています。
妊娠中の飲酒についても、その一つかも知れません。
米ブラウン大学の経済学教授エミリー・オスター氏が自身の妊娠をキッカケにそれまでの定説を調べ直してまとめた著書が話題です。彼女の著書の翻訳本が東洋経済新報社から出版されています。
『お医者さんは教えてくれない 妊娠・出産の常識ウソ・ホント』
エミリー・オスターさんは医療の専門家ではありませんが、統計学に長けた彼女の著書は医療専門家、保健当局、子育ての経験豊富なおばあさま方々の批判をものともせず、ズバズバ書いているところが素晴らしい。
その中で、飲酒については大量の飲酒は胎児にとって危険だが、控えめな飲酒に同じ影響があるかどうかは証明されていないと論じています。
じゃあ、妊娠中に控えめなら飲酒はOKかというとそうではありません。どっちかわからないということ。問題ないのか、問題があるのか証明されていないことが主張されています。
私としては、どっちかハッキリしてほしいところですが、今となっては難しいそうです。あたらめて証明しようとすれば、妊娠中に飲酒しなかったグループと飲酒をしたグループで胎児とその成長過程まで追いかけて統計をとる必要があるからです。
いまさら、妊娠中に飲酒できますか?
悪影響が証明されていないとは言え、胎児への影響があるかもしれないのに研究に協力できませんよね。
彼女の意見はとても重要だと思います。医療の分野でも統計学を使って研究されていますが、その専門家からすれば、ぜんぜん甘い。誤った統計に基づいた定説で世の中がすすんでしまい、真実を確かめることすらできない状態になってしまう。そんな状況に警鐘を鳴らしている気がします。